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Marine Link(株)

沖縄県 水産物

一本釣りのマグロと養殖、 伊平屋島の魅力を島外へ。

水揚げされた本マグロ。この後、那覇空港へ運び、空輸で大消費地に送られる。

水揚げされた本マグロ。この後、那覇空港へ運び、空輸で大消費地に送られる。

事業内容

沖縄県の漁業者団体が、伊平屋島を中心とする離島周辺で漁獲・水揚げされたキハダマグロ等の水産物について、パートナーと連携した販売を行うことで、生産から加工・販売へと繋がるバリューチェーンを形成し、原材料の付加価値向上を目指す事業

解説図

Marine Link(株)

Marine Link(株)

〒905-0703 沖縄県島尻郡伊平屋村字我喜屋217-30

TEL:098-046-2966(FAX共通)

HP:http://www.kurahashi.co.jp/page0120.html

日本水産資源保護協会認定のマリン・エコラベル(左)と養殖エコラベルのAEL(右)。

日本水産資源保護協会認定のマリン・エコラベル(左)と養殖エコラベルのAEL(右)。

漁協との長年の信頼から生まれた協力体制の新事業。

部位ごとに切り分けられたマグロ。

部位ごとに切り分けられたマグロ。

MarineLink(株)は、広島県福山地方でトップクラスの水産物の荷受け・加工・販売を手がける(株)クラハシと、沖縄県の伊平屋村漁業協同組合により2014年に設立された。同漁協と周辺漁師が一本釣りで漁獲したキハダマグロや養殖のモズク・ヤイトハタなどの加工・販売を行っている。
養殖事業において長年の信頼関係を築いていた両社。一本釣りのマグロを高く評価していた(株)クラハシと、市場規模が小さく適正な選別・評価に基づく価格形成がなされていないことを問題視していた伊平屋村漁協のニーズが一致したことが本事業の立案に至った。
水揚げまでに長時間を擁する延縄漁ではなく、小回りの効く小型船で一本ずつ丁寧に釣り上げられる伊平屋村のマグロは、日戻りから3日以内に水揚げされるため、高鮮度のチルド出荷が可能。皮肌に艶があり、もっちりした身質と、マグロ本来の旨みが特徴だ。
「東シナ海などのパヤオ(人工漁礁)に近く、恵まれた立地にある伊平屋島を拠点とすることで、移動の無駄を省き、直ぐに水揚げして解体することで、最高鮮度の状態で流通できる」と、同社代表の天野氏。

マグロの一本釣りと新たな養殖で、漁業の未来を担う存在へ。

伊平屋村漁協で養殖しているヤイトハタ。天然魚の水揚げがない時も、海産物の供給を可能にしている。

伊平屋村漁協で養殖しているヤイトハタ。天然魚の水揚げがない時も、海産物の供給を可能にしている。

水揚げされたマグロは、朝一番のフェリーと空輸で、主に大阪、名古屋市場へ出荷される。その際は10本ほどのマグロをまとめて輸送できるジュラルミンのコンテナが使われている。使い捨ての発砲スチロールの容器で1本ずつ運ぶよりも手間がかからず、廃棄物が減らせるためエコにつながり、送料も抑えられる。さらに、缶詰などの原料になる切り身は冷凍処理を施すことでロスを減らすとともに、価格の安定化を図っている。また、マグロやソデイカ漁の閑散期を中心に、ヤイトハタ、モズクの養殖事業を展開し業績も順調だ。同社は環境意識も強く、資源と生態系の保護に積極的な漁業者に付与される、日本水産資源保護協会のエコラベルを、養殖を含めた全魚種で取得している。
漁業の後継者問題は伊平屋島でも大きな課題。組合長の諸見氏は「島から出ていく人が多く、若い人に帰って来て欲しいが、働くすべがない」と言う。そんな中、モズクやヤイトハタに続く完全養殖による新事業を目指してMarineLink(株)、漁協、福山大学の三者による研究が進行中。資源問題と後継者不足を解決する取り組みとして期待を集めている。

代表取締役 天野 文男(右)

Marine Link(株)代表取締役 天野 文男(右)

伊平屋村漁業協同組合代表理事組合長 諸見 富男(左)

天野氏は親会社である(株)クラハシの代表取締役を兼任。伊平屋村漁協の組合長・諸見氏とは20年近い付き合いがあり、互いに協力しながら伊平屋島ならではの新しい漁業の形を構築している。

2018年7月 現在