岐阜県 野菜・花き
「もったいない」を解決。 規格外野菜に新たな価値を。
同社の冷凍ほうれん草は柔らかい触感と、料理の味がよく馴染むことが特長。
岐阜県高山市の野菜生産者が、飛騨地区産の未利用ほうれん草等を活用し、業務用加工品の製造・販売を行うことで、農畜産物の付加価値向上を目指す事業
収穫してすぐにI.Q.F.でバラ凍結するため、鮮度保持と味わいの良さを実感。
味に問題がなくても、サイズや傷で規格外となり出荷されず、廃棄を余儀なくされる野菜は少なくない。高冷地を活かし、夏でも美味しいほうれん草として大きなシェアを誇る岐阜県飛騨地区でも、年間約4000トンが廃棄されているという。ミチナル(株)は、飛騨地区で収穫される、ほうれん草やトマトなどで規格外となり今まで未利用だった野菜を活用し、一般流通向けや業務用の冷凍加工品の製造・販売事業を展開している。最終的には、生産物の歩留まり100%を目標に、原材料の付加価値向上を目指している。
現在同社は飛騨地区の40件の農家と連携して商品開発に取り組み、年間の生産量は170トン近い。廃棄物が減るだけではなく、利益の出る商品に生まれ変わる仕組みは生産者にも非常に喜ばれている。
主力で人気商品の一つ、I.Q.F.(個別急速冷凍)加工でバラ凍結したほうれん草は、余分な水分を含まないため、歯ごたえがあり鮮度を感じると購入者に好評だ。料理に使うと味がよく馴染み、大きさも生の状態で買うものと同等で、規格外品といえども品質の高さが評価されている。
ハウス栽培のほうれん草は鳥や虫の被害が少なく、菌の繁殖のリスクも減る。
同社は、使用する野菜の安全性に厳しい基準を設けている。提携農家はハウス栽培を行っているため問題が少なく、残留農薬も基準値を必ず下回る。国内における消費者の安全や安心に対する意識は非常に高いため、それに応えられる品質の維持を目指しているという。
地元とのつながりにこだわることも同社のポリシーだ。野菜は岐阜県産のみを取り扱い、商品はもちろんパッケージデザインまで地域の農家の人々と共につくりあげていく。自分たちの野菜がどこに流れているのかを明確に知り、生産者が愛情を感じられるような商品に仕上げることを大切にしている。また、地元スーパーともチームを組むことで市場調査も徹底。それぞれが持つ力の相乗効果で、消費者により喜ばれる商品づくりに挑戦している。
同社代表の山下氏によると、生産者に寄り添いながら問題を解決し、より良い仕組みをつくるだけではなく、農業自体のイメージを変えていくことも事業テーマであるという。農作物が消費者の口に入るまでを農業と捉え、就農人口の増加や地域活性化にも貢献していきたいという、熱いメッセージが込められている。
ほうれん草を約4cmにカットし、海外製の高性能なラインフリーザーで冷凍加工を施していく。
ほうれん草と地元の食材を組み合わせた冷凍ピザや、ほうれん草パウダーを使ったレトルトカレーは地元スーパーや道の駅で好評販売中。
[雫:透明なトマトジュース]
透明でもトマトの旨味をしっかり凝縮。トマトの水煮の缶詰商品をつくる際の副産物として生まれた。
大手ビール会社に勤務後、ミナチル(株)の親会社、山一商事(株)の高山工場に入社。2010年に同社の農業部門「まんてん農場」を設立し、翌年3代目社長に就任。2015年にミチナル(株)を設立し、岐阜県の農業活性化に取り組む。
2016年10月 現在