茨城県 果物
本物の味を海外へ。採れたて果実を翌日販売。
取材当時はイチゴの最盛期。バンコクでも大人気の「やよい姫」は、大粒で重みがあり、甘味と酸味のバランスの良さが特徴だ。
茨城県の野菜生産者が、鮮度を保持する技術を活用し、パートナーが有するノウハウと販路を活用して輸出することで、原材料の付加価値向上と販路拡大を目指す事業
〒305-0842 茨城県つくば市柳橋496番地
TEL:080-4154-8381 FAX:029-856-2233
土の中の微生物を増やし、病害虫への抵抗力を高める方法で栽培される『やよい姫』。
茨城県つくば市で農産物の直売所『みずほの村市場』を運営する(株)みずほは、輸出事業を行う新会社として2013年に(株)みずほジャパンを設立。真の健康や安全を考えた日本の農産物の「本物の味」を海外に提供し、両国の農業を活性化することを目的としている。その第一歩として、タイの首都バンコクに常設店舗を構え、消費者に直接販売する仕組みを作り上げた。
主軸となる商品は、贈答用としても人気のある果物。販売価格は日本の約3倍にもなるが、美しさと美味しさが評判となり確実にファンを増やしている。顧客は品質を求める富裕層となるため、提供する青果は、その期待にしっかり応えられるような品質のものを厳選。採れたてを成田空港に直接搬入してバンコクまで空輸し、翌日には『みずほの村市場バンコク店』で販売する体制を確立している。さらに、FacebookなどのSNSを活用して出荷状況などのタイムリーな情報を発信して、購買意欲の後押しをしているのだ。
『みずほの村市場』は会員制。年額1,000円で500円相当の農産物プレゼントと10%のポイント付与が受けられる。
代表の長谷川氏は、自分で作った農作物に対して、農業者が値段を付けることができない仕組みに疑問を感じ、日本の農業を量ではなく質を競う産業へと活性化させることを目指していた。市会議員として農業改革にも取り組んだ。政治の限界も実感する中、農業者が自己主張を行って自己責任を取れるステージの必要性を痛感し、1990年に(株)みずほを設立して『みずほの村市場』の運営に着手した。
独自のルールを設定。安売り競争は品質向上の妨げになると生産者が原価に基づいた価格を設定し、市場価格に惑わされない方針を打ち立てた。また、新たに農作物を販売する場合は、その農作物を販売している既存の農家より安い価格で売ってはならないという取り決めも定めた。原価にきちんと利益を乗せた価格設定ができなければ、農家は壊滅してしまうと危惧してのことだった。
「農業は環境の維持にも欠かせない存在であり、人口が減少し続けている日本においては、六次産業化が果たす役割は大きい」という長谷川代表。「安全で美味しい日本の農作物を海外のマーケットに広めることで、双方の農業の活性を図りたい」という思いの先に、農業の豊かな未来が見えるようだ。
銀座千疋屋やペニンシュラホテルといった高級店を顧客に持つ『村田農園』のイチゴ。
ひと粒ずつ品質を確認しながら丁寧に箱詰めされ、農場から空港への搬入も生産者が担う。
バンコクの高級住宅街スクンビット地区にある『みずほの村市場バンコク店』の店舗前。
JALUXと提携している成田空港店。帰国後のリピート買いも狙った試みで、軌道に乗れば、他国への展開も検討しているという。
(株)みずほの輸出事業を行う新会社として2013年に(株)みずほジャパンを設立。ひとつひとつ味が違う農産物に対して、海外においても価格競争に陥らない独自のルートを確立することで、農家の所得増加を目指している。
2018年2月 現在