A FIVE

前のページに戻る

(株)對馬原木しいたけ

長崎県 林産物,野菜・花き

100年の歴史を誇る 対馬の高級原木椎茸。

ふっくら分厚い原木冬椎茸。その収穫は11月〜2月の限られた時期に行われる。

ふっくら分厚い原木冬椎茸。その収穫は11月〜2月の限られた時期に行われる。

事業内容

長崎県対馬市の椎茸生産者と地元農業者団体が連携し、自らが生産する原木椎茸を冷凍加工、粉末化することで生産物の付加価値向上、消費拡大を目指す事業

解説図

(株)對馬原木しいたけ

(株)對馬原木しいたけ

〒817-0001 長崎県対馬市厳原小浦176-8

TEL:0920-56-1142
FAX:0920-56-1152

「森のあわび」と称される芳香、食感、風味の妙。

均日本一高価とも言われる見事な椎茸。高い需要に供給が追いつかないほど。

日本一高価とも言われる見事な椎茸。高い需要に供給が追いつかないほど。

(株)對馬原木しいたけは、原木椎茸を栽培する(株)翔榮を親会社に、両社の代表を木村一彦氏が兼任する形で2017年に創立された。問屋を通さない独自のルートを自ら開拓し、原木椎茸の仕入れから加工・販売を手掛けている。
対馬の原木椎茸栽培の歴史は100年に及び、徳川幕府に献上した記録が今に伝わっている。玄界灘に浮かぶ対馬は冬に冷たい季節風が吹くため、木々はゆっくり育ち、その間に栄養分をたっぷり蓄える。(株)對馬原木しいたけでは、その豊かな栄養分だけで、肥料や農薬を一切与えず、冬場の厳しい環境を経て1年半にわたって、じっくり栽培している。だからこそ、「森のあわび」と称される、濃厚で豊潤な香り、ふっくら肉厚でコリコリした食感、口の中に広がる風味が特徴の椎茸ができるのだ。
現在、生椎茸よりも乾燥椎茸の販売割合が多い同社。収穫時期が限定される生椎茸の通年供給を目指し、冷凍技術の導入や、夏椎茸の取扱いを開始することで、引き合いの強い生椎茸の販売を強化する努力を重ねている。一方、出汁や煮物用と思われがちな乾燥椎茸の新しい調理法の普及にも意欲的だ。

独自のハウス栽培+森林栽培で、安定的な生産・供給を実現。

ひとつひとつ手作業で菌が植え付けられている。丸く白いモノが植え付けられた菌。

ひとつひとつ手作業で菌が植え付けられている。丸く白いモノが植え付けられた菌。

流通する生椎茸のうち9割を占める菌床栽培に比べ、自然環境に左右されやすく手間もかかる原木栽培だが、歯応えや香りの良さから、高いニーズがあり、希少性が増している。対馬の原木椎茸は、栄養豊富な樹齢25年程度のアベマキを使用することで、高品質な椎茸を実現。まずハウスで3年栽培し、山に帰し自然の中で2〜3年栽培する独自の方法を実施し、役割を終えた原木はウッドチップにして堆肥に再利用するなど、資材の有効利用も図っている。また、計画的に伐採することで、森林再生・整備にも取り組んでいる。
しかし、今に至る道のりは決して順風満帆ではなかった。東日本大震災、原発の風評被害に続き、2015年には対馬を襲った記録的大雨で保有していた20万本のほだ木の1/4以上が流された。こうした経験から地域生産者と連携し、対馬しいたけ協同組合を設立し、半屋内施設(ハウス)による安定した生産体制の構築に取り組み、全国でも有数の原木椎茸生産者となったのだ。
対馬産の原木椎茸と認められるには、農薬や化学肥料の不使用、人の手で収穫されるなど、7つの厳しい条件があるからこそ、高い品質と信頼を維持している。「やっと、島の発展のために貢献していると感じられる」と、木村氏は最後に大きな笑顔を見せてくれた。

代表取締役 木村 一彦

(株)對馬原木しいたけ代表取締役 木村 一彦

父親の死により、28歳の若さで(株)榮建設を継ぐ。全国的な公共事業の削減を受けて、2006年に(株)翔榮を興し原木椎茸栽培に参入。2011年に(株)對馬原木しいたけを創業。3社の代表を兼任しながら、故郷対馬の発展に尽力している。

2018年7月 現在