A FIVE

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(株)食縁

和歌山県 水産物

世界で通用する味を追求。においを抑え、深いコクの養殖ブリ。

肉のような食感と旨味豊かな味わいの食縁の養殖ブリ。

肉のような食感と旨味豊かな味わいの食縁の養殖ブリ。

事業内容

全国各地の鰤(ブリ)の養殖漁業者が種苗改良育成技術を持つ大学発ベンチャー企業とともに、新たな加工技術や海外に販路を持つパートナーと連携し、鰤を中心とした養殖魚をフィレ加工し、国内外に販売していく事業

解説図

(株)食縁

(株)食縁

〒647-0071 和歌山県新宮市佐野2122-3
TEL・FAX:0735-31-5042
http://shokuen.co.jp/

「におわないブリ」が国内外で新たな市場を開拓。

ステーキ風に調理した養殖ブリは、ヘルシーさと肉のような食べ応えが好評。

ステーキ風に調理した養殖ブリは、ヘルシーさと肉のような食べ応えが好評。

㈱食縁は、近畿大学や和歌山県新宮市などの支援を受け、養殖魚の輸出・販売を目的として6つの養殖業者と6社の異業種の出資により設立された。主な養殖魚は日本近海の固有種であり国際競争力が高いブリ。近畿大学で生産される完全養殖の種苗を中心に、周年6kgの成魚を出荷できる養殖生産体制を養殖業者との連携で構築。同社はそれを購入しフィレ加工して国内外へ輸送・販売するという仕組みだ。

海外で新市場を開拓するためには、日本の市場で高い評価を得る必要がある。そこで消費者のニーズに応えて取り組んだのが、青魚特有の生臭さをなくした「におわないブリ」の開発だ。消臭効果や酸化防止効果を持つカテキンやポリフェノールを含んだ独自の餌を探究。試行錯誤の末、生臭さが苦手な人にも受け入れやすいブリの開発に成功した。また、大手各社の冷凍機を使って実験を重ね、高速でムラなく冷凍され組織も壊れにくい高性能冷凍機を導入。臭みのない脂がのったブリは、解凍後も鮮度を保ち、刺身にしても美味しく、焼いて食べるとまるで肉のような味と食感に変わる。この強みを生かし、洋食や中華にも使える食材として、ブリの需要を世界に広げていきたいという。

異業種の最新技術が集結。日本の養殖・水産業界の復興を担う。

近畿大学の完全種苗の活用と餌の改良により持続可能性の高い仕組みを実現。

近畿大学の完全種苗の活用と餌の改良により持続可能性の高い仕組みを実現。

養殖ブリの輸出にあたり、同社に出資する企業も技術提供や販路開拓で支援を行っている。例えば富士通は、工場内部の様子がどこにいても確認できるライブカメラを提供。さらにクラウドシステムを活用し、飼育状況の詳細を生け簀ごとに把握。流通ルートなどの情報まで全てを一元管理することで、ブリのトレーサビリティ管理とコスト管理に役立ててる。積水化成品工業は、ブリの表面ドリップの酸化を防ぐ機能性フィルムを開発。また、冷凍商品の温度を上昇させることなく運べる海上輸送にこだわり、欧米などの遠い市場にも鮮度・品質の高い商品を届けることを可能にしている。

水産市場が縮小傾向にある日本で養殖業が生き残るには、輸出規模の拡大がカギと言う代表の有路氏。そのためには海外市場に合わせた最新技術の集結が重要であり、「におわないブリ」はまさに最適と言える。輸出を念頭に置いたマーケティング戦略を立て、全く新しい商品設計や提案を積極的に打ち出し、輸出へのハードルをひとつひとつ克服している同社。取引の円滑化を図るための輸出入の国際的なルールの整備、良質な国産養殖魚のための新たな認証制度との取組みにも意欲的だ。今までにない視点と戦略で日本の養殖業の可能性を広げていく同社の今後に注目していきたい。

代表取締役 有路 昌彦

(株)食縁代表取締役 有路 昌彦

近畿大学の教授も務め、水産庁の有識者検討委員、内閣府食品安全委員会専門調査会委員として国の政策に関わる。日本が誇る養殖技術で生産された水産物を世界に広めるため、㈱食縁を設立。

2016年2月 現在