宮崎県 果物
ぶどうの里からワインの里へ 世界と繋がるテロワール。
国内外で数々の受賞歴を持つ都農ワイン。一番手前は代表銘柄のキャンベル・アーリー ロゼ。
宮崎県都農町のぶどう生産者が、地元産ぶどう等を原材料としたワイン製造を行い、県内外の消費者への販売を行う事で農産物の付加価値向上を目指す事業
豊富な日照と適度な雨で熟度の上がった香り豊かなぶどう。
西に尾鈴連山が連なり、東には日向灘が広がる宮崎県中部に位置する都農町。(株)都農ワインは、地元産のぶどうのみを使って、都農町ならではの風味豊かなワイン造りを実現させるために、第三セクターとして1994年に設立された。
34haの広々とした敷地の中、ワイナリーがあるのは、標高150mの牧内台地。その小高い丘からは都農の街を一望できる。醸造過程が見学できるワイナリーには、大小20基のステンレスタンクと、フレンチオークの樽が250本あり、充填機や冷却ユニットをはじめラベラーまで先進の設備が整っている。土地の持つ香りを大切にしたワイン造りに定評がある都農ワイン。中でも、熱処理をしないフレッシュでフルーティーな仕上りが魅力的なキャンベル・アーリーロゼは、ワインレポート2004でエキサイティングなワイン100に選出され脚光を浴びた。その後も数々のワインが世界のコンクールで受賞を重ね高評価を得ている。
ワイナリーに併設したカフェやワインセラーではウェディングパーティーや野外コンサートを開催することもできる。ワインを中心に多くの人が集い、交わる場を提供している。
都農のワイン用ぶどうは、垣根仕立てではなく、平棚仕立てで栽培されている。
都農町は日照時間が長く、年間の総雨量が4000mm以上と温暖多雨かつ台風が頻繁に通過する地域。さらに土壌は火山灰の黒ボク土で、ミネラル分が不足し、果樹栽培に適さない土地と言われてきた。しかし、研鑽を重ね巨峰をはじめとするぶどう栽培を成功させ、一躍ぶどうの里として名を馳せた。
その後も有機農業研究会の技術指導によるリサイクル堆肥を投入し、さらなる土壌改良を実現。現在も7haほどの畑で多種多様なワイン用ぶどうを栽培し、ぶどうの休眠期には堆肥を使った土作りを行っている。また、ワイン専用品種は垣根仕立てという常識を破り、棚栽培を取り入れたり、早生の品種を選び、収穫時期が過ぎてから台風が来るようにコントロールしたり、風土に合わせた工夫を凝らしている。
「格好よく言えば、ワインは山梨や北海道などの寒い地域のものという既成概念を打ち破るのもウチの会社の使命。良いワインを造りたいという気持ちの強さが大切。」と代表の小畑氏。都農でしか造れない、特徴あるワインの年間出荷量は現在24万本ほど。30万本を目指して、農園の拡張など、さまざまな取り組みを行っている。ワイン文化の薫る街を夢見て造られたワイナリーは、着実に目標に向かって前進している。
機械による瓶詰めなど、オートメーションを進めながらも、作り手の感や技術も大切にしている。
フレンチオークの樽の中で熟成を重ねるワイン。
その年のぶどうの出来により、それぞれの工程を見直し調整している。
ワイナリーに併設された「都農ファームカフェ」。
ワインの他、蒸留器を導入し、ブランデーやリキュールなども手掛けている。
帯広畜産大学大学院修了後、海外青年協力隊員としてボリビアへ赴任。飲料・酒造メーカーで醸造を学んだのちブラジルでのワイン造りを経て、1996年に㈲都農ワインに取締役・工場長として就任し、2016年から現役職。都農ならではのワイン造りを推進している。
2018年11月 現在