熊本県 米・穀類
日本が誇る完全食玄米を独創的な製法でペースト化
厨房マネージャー高木正美氏
玄米を独自の製法で丸ごと粉砕、玄米の栄養が100%入っているペースト。これが美味しい玄米パン(玄米82%以上、グルテン18%以下)の秘密。
『栄養豊富な玄米をそのままパンにできないか』。そんな想いで熊本玄米研究所の立ち上げに参加した瀧尾氏。しかし、そこに至るまでには、葛藤があったという。瀧尾氏は長年米粉の研究に取り組み、米粉パンの普及に尽力してきた経歴の持ち主。その経験を熊本の稲作活性化に活かしてほしいと、中九州クボタ・西山社長よりオファーを受けたものの、米粉パンの限界を感じて、一度はその申し出を断ったというのだ。
しかし、米粉パンの限界《小麦本来の味や風味に勝てない。白米以上の栄養価が望めない。単価が割高になる。》を逆転させる策として、玄米をそのままパンにすることを思いつき、その製造を決意した。玄米粉ではなく、「玄米ペースト」を主原料にすることで、玄米成分100%の高い栄養価を持ちながら、消化に優れもっちりと美味しい玄米パンを、日本で初めて成功させたのだ。
親会社、中九州クボタの敷地内にある「コメノパン玄氣家」。
古来“玄米食べれば医者知らず”といわれている。その栄養は、外皮の糠部分に集中しているが、糠層は硬質で消化が悪く、粉にすると酸化して独特なニオイを発生させるという問題があった。「玄米ペースト」は、その問題を十分な吸水と高速強力回転のミキサーによる粉砕で解決。糠層や胚芽部分まで微細粉砕した完全食なのだ。
そんな「玄米ペーストパン」を販売するのが直営店の「コメノパン玄氣家」。地元以外の来客が6割近くを占める、知る人ぞ知る人気店だ。来店のきっかけは、新聞やテレビなどのマスコミ報道や、知人からのクチコミが中心とか。ほとんどが“小麦以上、小麦に負けない美味しさ”と絶賛し、玄米の栄養価や安全性にも信頼を寄せている。
現在は直営店のほか、熊本空港のオープン喫茶やイベント、インターネット販売でしか味わうことはできないが、出店を望む声は多い。さらに今後グルテン(小麦)を使わないアレルゲンフリーの『玄米ペースト麺類』の販売も予定している。近い将来、もっと身近な存在になることが大いに期待できそうだ。
玄米パンの香ばしい香りが漂う、明るく清潔感あふれる店内。イートインコーナーも併設。
食パンやロールパンから、トッピングや中身が楽しめる調理パンまで、バラエティに富んだラインナップ。どれもクセがなく、小麦パン以上に美味しく食べやすいと評判。
大津町の特産品、からいも(サツマイモ)を使った玄米パン。からいもの自然な甘さと玄米の香ばしさがクセになる。
グリコ栄養食品㈱在籍時に米粉と出会い、2002年近畿米粉食品普及推進協議会を立ち上げる。米粉パン教室を全国で約300回開催するなど、普及活動に尽力。現在は玄米ペーストを使った食品作りに意欲的に取り組んでいる。
2014年12月 現在
※2017年8月支援終了